<症例情報>
中型雑種犬
1歳 去勢済みの男の子 14kg
主訴:左の前足に力が入らない
神経学的検査において、左前足の反応の低下を認めた。
レントゲンでは異常はなく、精査のために首のMRI検査を実施。
<検査結果>
左の画像では首の範囲の脊髄(神経)に、右の画像では脊髄の左側に扇状に白い領域が見られた(黄矢頭)
<診断>
MRI画像と症状から、脊髄梗塞であると診断された。
病変が扇形であるというのが本症例で最も特徴的であり、診断の決め手となった。
<繊維軟骨塞栓症(FCE)>
FCE:Fibrocartilaginous embolism
椎間板から飛び出た線維軟骨が脊髄の血管に詰まる病気。
脊髄梗塞で最も一般的な原因と言われている。
犬でも猫でも起こりうる病気。
症状:片側の前足・後ろ足、あるいはその両方に症状が出ることがある、麻痺が強く立てなくなってしまう場合もある。
<さいごに>
症状は急に現れ、椎間板ヘルニアととてもよく似ています。
椎間板ヘルニアは手術が必要となることも多いため、MRIにより正確な診断をつけることがとても重要です。
*当院では、高崎市の「MGL付属高度動物医療センター」にてMRI検査を実施しております。
当院からの指示があった場合を除き、まずは富岡総合医療センターをご受診下さい。