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2025.07.06
画像診断
#5 硬膜内/髄内椎間板逸脱

<症例情報>

シベリアンハスキー
6歳 去勢済みの男の子 27kg

 

主訴:ドッグランで他の犬と追いかけっこをしていたら突然痛がる様子があり、その後から
後ろ足を引きずり前足のみで移動するようになった。

 

検査の結果、後ろ足の麻痺を認める
胸や腰の脊髄(神経)疾患を疑いMRI検査へ

 

 

<検査結果>

[MR画像 胸腰部矢状断像 T2強調画像]
[MR画像 胸腰部矢状断像 T2強調画像]

脊髄の中心部に黒く見える箇所がある(水色矢頭)
またその周囲の脊髄が白く見える(黄色矢頭)

 

病変部の椎間板の量は正常な椎間板と比べて少なくなっている
→椎間板物質が飛び出したことを疑う

 

<診断>

[MR画像 胸腰部矢状断像 T2強調画像]
[MR画像 胸腰部矢状断像 T2強調画像]

他に病変がなく、症状が急性に発症したことから「硬膜内/髄内椎間板逸脱」と診断

 

<MR画像>

[横断像(T13-L1) T2強調画像 ]
[横断像(T13-L1) T2強調画像 ]
[横断像(T13-L1) T2*強調画像]
[横断像(T13-L1) T2*強調画像]

2つの画像を見ると脊髄の中心部が黒く(水色矢頭)、椎間板物質や出血と判断できる
→椎間板物質が脊髄内に貫通した可能性が考えられた。

 

硬膜内 / 髄内椎間板逸脱(IIVDE)
(IIVDE:Intradural/Intramedullary Intervertebral Disc Extrusion)

 

一般的な椎間板ヘルニアは硬膜外腔にとどまります
しかし稀に硬膜を突き破り、さらに内側の脊髄(髄内)に入り込んでしまう事があります。

 

硬膜内 / 髄内椎間板逸脱(IIVDE)

 

原因として考えられる説としては様々なものがあります。

 

<さいごに>

本症例の場合は高磁場MRIにより脊髄内部まで詳細に評価することができました。
椎間板ヘルニアといっても様々なタイプがあり高磁場MRIでより詳細に診断することでその子にあったベストな治療を選択する事が可能です。

 

 

*当院では、高崎市の「MGL付属高度動物医療センター」にてMRI検査を実施しております。
当院からの指示があった場合を除き、まずは富岡総合医療センターをご受診下さい。