<症例> ジャックラッセルテリア、10歳、去勢雄
頚を痛がる様子があるとの主訴で来院されました。
その他にも沈鬱、行動の変化などの頭蓋内疾患も疑われる様子が認められたため、精査のため頭部および頚部MRI検査を実施しました。
MRI検査を実施したところ、右側の側脳室内にT2強調画像/FLAIR画像で不均一に高信号を呈し、非常に不均一な造影増強を伴う形態不整な腫瘤が認められました(赤矢頭)。この腫瘤は内部で出血を疑う所見も認められました(赤矢印)。
この腫瘤の他にも、脳室内壁に沿うように強く増強される領域が複数箇所認められました(橙矢頭)。またC2~C3椎体上の脊髄実質に周囲との境界やや不明瞭に増強される部位を断続的に認めました(黄矢頭)。
これら画像所見から側脳室に発生した脳室内腫瘍、特に脈絡叢腫瘍 chroid plexus tumors(CPT)が疑われ、脳室内壁に沿うように強く増強される領域や頚髄に認められた増強される領域は脳室内/くも膜下腔への播種/転移(drop metastasis)が疑われることから、脈絡叢腫瘍の中でも特に脈絡叢癌chroid plexsus carcinoma(CPC)が疑われました。
脳室内腫瘍は発生部位にもよりますが、二次的に水頭症を引き起こしたり、本症例のように頸髄への転移による頚部痛を引き起こしたことによって発見されるなど、比較的初期の段階では臨床症状を引き起こしにくいとされています。少しでも気になることがある場合にはお気軽にご相談ください。
【参照文献】
Westworth DR, Dickinson PJ, Vernau W, Johnson EG, Bollen AW, Kass PH, Sturges BK, Vernau KM, Lecouteur RA, Higgins RJ. Choroid plexus tumors in 56 dogs (1985-2007). J Vet Intern Med. 2008 Sep-Oct;22(5):1157-65. doi: 10.1111/j.1939-1676.2008.0170.x. Epub 2008 Aug 6. PMID: 18691364
Yeamans CL, Gutierrez-Quintana R, Haley A, Lamm CG. Magnetic Resonance Imaging and Clinical Findings Associated with Choroid Plexus Spinal Cord “Drop” Metastases. J Am Anim Hosp Assoc. 2017 Sep/Oct;53(5):265-269. doi: 10.5326/JAAHA-MS-6479. Epub 2017 Aug 9. PMID: 28792797.
※当院では、高崎市の「MGL付属高度動物医療センター」にてMRI検査を実施しております。
当院からの指示があった場合を除き、まずは富岡総合医療センターをご受診下さい。