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2025.07.05
画像診断
#4 広範囲に出血を伴う椎間板ヘルニア【神経疾患(脊髄)】

<症例情報>

トイプードルミックス
8歳 避妊済みの女の子 3.8kg

 

主訴:家の廊下で走っていたら突然キャンと鳴いた、その後から後ろ足に力が入りにくい

 

検査の結果、両後ろ足の麻痺を認めた
特に左後ろ足の麻痺が強い
胸や腰の神経疾患を疑いMRI検査へ

 

<検査結果>

[MR画像 胸腰部矢状断像]
[MR画像 胸腰部矢状断像]

胸から腰にかけて神経を周囲から圧迫するような物質を確認(赤矢頭)
最も圧迫が強い場所は黄丸の部分で左側から神経を圧迫しており、症状とも一致している

 

<診断>

[横断像(L1-2) T2強調画像 ]
[横断像(L1-2) T2強調画像 ]
[MR画像 横断像(L3-4) T1強調画像]
[MR画像 横断像(L3-4) T1強調画像]

・椎間板ヘルニアにしては極端に範囲が広い
・脊髄を圧迫する物質は出血が疑われた
広範囲に硬膜外出血を伴った椎間板ヘルニアと診断

 

<MR画像>

[横断像(L1-2) T2強調画像 ]
[横断像(T13-L1) T2強調画像 ]
[横断像(T12-13) T2強調画像]
[横断像(T12-13) T2強調画像]

腰の画像(左)で左側から神経が血液の塊と思われる黒い物質によって圧迫されている。
その周囲の画像(右)では背中側及び左側から神経が少し押されている。

 

広範囲に硬膜外出血を伴った椎間板ヘルニア
(Acute Intervertebral Disc Extrusion With Extensive Epidural Hemorrhage)

 

椎間板ヘルニアによって神経のお腹側の血管が傷つき、そこから硬膜外出血を起こす事がある

 

<硬膜外出血とは>

硬膜外出血とは

硬膜外腔(左図の青部分)で出血を起こす状態
胸や腰でのみ起こる
中型〜大型の犬種でより多いが小型犬でも珍しくない

 

<MRIって?>

MRI

MRIは磁気共鳴画像診断とも呼び、強力な磁力と電波により臓器や血管などを画像化する検査

 

当院のMRIとは
当院では精度の高いMRI(高磁場)での検査が可能です。
MRIには出血を調べる特殊な撮影方法もあり、必要に応じて撮影法を追加して検査を行います。

 

特に脳領域においては、当院のMRIを用いると他の検査で見えてこないような僅かな出血も捉える事ができるのも特徴です。

 

 

*当院では、高崎市の「MGL付属高度動物医療センター」にてMRI検査を実施しております。
当院からの指示があった場合を除き、まずは富岡総合医療センターをご受診下さい。