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2024.02.19
画像診断
#38 脊髄挫傷(交通事故)【画像診断】

<症例> パグ、3歳、雄

 

交通事故にあい、その後から後肢に力が入りにくいとのことで来院されました。
神経学的検査を行ったところ、両後肢の不全麻痺が認められました。レントゲン検査では明らかな骨折は認められず、精査のためMRI検査を実施しました。

 

MRI検査を実施したところ、L2椎体レベルの脊髄右側域にT2強調画像でびまん性に高信号を呈する病変を認め(黄矢印)、本症例の交通事故の経過からも脊髄挫傷が考えられました。T2*強調画像において出血を疑う磁化率アーチファクトは認められないことから出血は伴わないと考えられ、外科的な介入は必要ないと判断することができました。

 

 

【MRI、矢状断像、T2強調画像】
【MRI、矢状断像、T2強調画像】
【MRI、矢状断像、STIR画像】
【MRI、矢状断像、STIR画像】

 

 

【MRI、病変部の横断像、T2強調画像】
【MRI、病変部の横断像、T2強調画像】
【MRI、病変部の横断像、T1強調画像】
【MRI、病変部の横断像、T1強調画像】
【MRI、病変部の横断像、T2*強調画像】
【MRI、病変部の横断像、T2*強調画像】

 

T2*強調画像は微小な出血も捉えることができるため、T2強調画像などの他のシーケンスで見えてこないような微小な出血を強調してくれます。

 

MRI、横断像、T2強調画像】
MRI、横断像、T2強調画像】
【MRI、横断像、T2*強調画像】
【MRI、横断像、T2*強調画像】

 

 

上記は脳の微小出血の他の症例画像ですが、T2強調画像では赤丸内の病変はほとんど認識することができませんが、T2*強調画像では簡単に赤丸内の微小出血点を認識することが可能となっています。
T2*強調画像は脳においては撮像することが多いですが、脊髄の撮像時にも本症例のように交通事故などの外傷で出血の可能性が疑われる場合には必要に応じてT2*強調画像などの撮像法を追加して検査を実施していきます。

 

 

 

※当院では、高崎市の「MGL付属高度動物医療センター」にてMRI検査を実施しております。当院からの指示があった場合を除き、まずは富岡総合医療センターをご受診下さい。