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2025.06.14
画像診断
#3 頚部椎間板ヘルニア(水和髄核逸脱:HNPE)(飼い主様用)

<症例情報>

小型のミックス犬 7歳 避妊済みの女の子 4.5kg
主訴:昨日から突然四肢に力が入りにくくなった

 

検査を実施し、頚部痛及び四肢の麻痺を認めた
レントゲン検査上明らかな異常は認めなかった

 

<検査結果>

[MR画像 頚部矢状断像 T2強調画像]
[MR画像 頚部矢状断像 T2強調画像]

頚の神経の異常が疑われたため
頚のMRI検査を実施
→神経がお腹側から圧迫されている(水色矢頭)

 

<診断>

[MR画像 病変部の横断像 T1強調画像]
[MR画像 病変部の横断像 T1強調画像]
[MR画像 病変部の横断像 T2強調画像]
[MR画像 病変部の横断像 T2強調画像]

神経を圧迫している物質は一般的な椎間板ヘルニアとは異なり、液体に近い成分であった
→MR画像から椎間板ヘルニアの中でも

水和髄核逸脱(HNPE)と診断

 

<MR画像>

[横断像 T2強調画像 一般的な椎間板ヘルニア(Ⅰ型)の場合]
[横断像 T2強調画像 一般的な椎間板ヘルニア(Ⅰ型)の場合]
[本症例 病変部の横断像 T2強調画像]
[本症例 病変部の横断像 T2強調画像]

一般的な椎間板ヘルニアの画像を見ると、飛び出している物質が黒く見えている(黄矢頭)
しかし本症例は圧迫されている領域の神経がやや白い(水色矢頭)

→神経が圧迫により浮腫を起こしていることを疑う

 

<水和髄核逸脱(HNPE)とは>

(HNPE:Hydrated nucleus purposes extrusion)

一般的な椎間板ヘルニアと異なり、飛び出る物質が液体~ゼラチンのような水により近い性状であるため、MRIでは特徴的な画像となる

発症部位:主に頚、稀に胸/腰
症状:四肢の弱い麻痺~完全な麻痺など

また様々な品種で見られるのも特徴

 

<さいごに>

予後は内科/外科治療のどちらも良好な経過である言われており、MRIにおいて水和髄核逸脱と診断できることにより予後の推測も可能となります。

 

<当院のMRIとは>

当院では精度の高い(高磁場)MRIでの検査が可能です。
本症例はMRIで圧迫されている神経にも浮腫を疑うような所見が認められました。そういった僅かな神経の変化を見る事ができるのも当院のMRIの特徴です。

 

 

*当院では、高崎市の「MGL付属高度動物医療センター」にてMRI検査を実施しております。
当院からの指示があった場合を除き、まずは富岡総合医療センターをご受診下さい。