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2023.11.20
画像診断
#22 脊髄軟化症【画像診断】

<症例> ラブラドールレトリーバー、6歳、避妊雌

 

昨日、突然立てなくなり、今日になって呼吸がかなり弱くなってきたとのことで来院されました。
神経学的検査を行ったところ、四肢の麻痺が認められました。
レントゲン検査では異常は認められず、精査のため頚部及び頭部のMRI検査を実施しました。

 

MRI検査を実施したところ、頚髄ほぼ全域がT2強調画像で高信号(白い)を呈し、第5~7頚髄領域の脊髄の中心部(主に灰白質)は低信号(黒い)を呈しておりました。頭部では、延髄(中脳/橋/脳幹)にも同様にT2強調画像で高信号(白い)を呈する所見が認められ、臨床症状とも合わせ、出血を伴う脳脊髄の壊死が疑われました。

 

 

【MRI、頭部矢状断像、T2強調画像】
【MRI、頭部矢状断像、T2強調画像】
【MRI、頚部矢状断像、T2強調画像】
【MRI、頚部矢状断像、T2強調画像】

 

【MRI、C4-5横断像、T2強調画像】
【MRI、C4-5横断像、T2強調画像】
【MRI、C5-6横断像、T2強調画像】
【MRI、C5-6横断像、T2強調画像】

 

本症例は椎間板の変性も認められず、椎間板ヘルニアや椎体骨折などの外傷を疑う所見なども特に認められませんでした。死後解剖まで実施され、脳脊髄軟化症(encephalomyelomalacia)という診断となりましたが、発症した原因は解明されませんでした。脊髄軟化症は椎間板ヘルニアにより二次的に発症することが多いですが、その他にも脊髄に影響を与えるような疾患(脊髄梗塞、重度の脊髄炎など)でも発症することがあります(本症例は不明)。

 

Boudreau E, Otamendi A, Levine J, Griffin JF 4th, Gilmour L, Jeffery N. Relationship between Machine-Learning Image Classification of T2-Weighted Intramedullary Hypointensity on 3 Tesla Magnetic Resonance Imaging and Clinical Outcome in Dogs with Severe Spinal Cord Injury. J Neurotrauma. 2021 Mar 15;38(6):725-733. doi: 10.1089/neu.2020.7188. Epub 2020 Dec 4. PMID: 33054592.

 

 

※当院では、高崎市の「MGL付属高度動物医療センター」にてMRI検査を実施しております。当院からの指示があった場合を除き、まずは富岡総合医療センターをご受診下さい。