case

診療実績

TOP > #2 胸腰部椎間板ヘルニア(I型)(飼い主様用)
2025.06.05
画像で見る病気(飼い主様向け)
#2 胸腰部椎間板ヘルニア(I型)(飼い主様用)

<症例情報>

ミニチュアダックスフンド 10歳 去勢済みの男の子 5.6kg

 

<主訴>

ソファから飛び降りてきゃんと鳴いた。その後から後ろ肢を引きずっている。

検査の結果後ろ肢の麻痺、特に右後ろ肢に強い麻痺を認めた
胸から腰にかけての椎間板のヘルニアを疑いMRI検査へ

 

<椎間板ヘルニアとは>

椎間板ヘルニアとは

 

椎間板が正常な位置から飛び出ている状態。
一般的には背中側へ突出し、椎間板のすぐ上を走行する脊髄を圧迫することによって神経症状を引き起こす。

 

<検査結果>

<MR画像 胸腰部矢状断像>
<MR画像 胸腰部矢状断像>

MRI検査を行った結果、椎間板ヘルニアを2箇所認めた。
椎間板は骨と骨の間のクッションのような役割を果たしている。

 

<診断>

脊髄(神経)が重度に潰されて左下に追いやられている状態(MR画像 橙矢頭)。
このレベルの圧迫だと麻痺の程度も強い、HansenⅠ型に分類される。
椎間板ヘルニア(HansenⅠ型)と診断。

<MR画像 横断像(T11-12)>
<MR画像 横断像(T11-12)>
<HansenⅠ型>
<HansenⅠ型>

 

<MR画像>

2枚の横断像を見比べると脊髄圧迫のレベルがかなり違う事がわかる。

<MR画像 横断像(T11-12)>
<MR画像 横断像(T11-12)>
<MR画像 横断像(T13-L1)>
<MR画像 横断像(T13-L1)>

右の図では真下から盛り上がった椎間板が脊髄を圧迫している(黄矢頭)。
左の図と比べても神経の変形は少なく圧迫は軽度、強い麻痺を起こすようなレベルではないと考えられる。
このような椎間板ヘルニアはHansenⅡ型と呼ばれるタイプが多い。

 

<正常例>

<MR画像 矢状断像 正常例>
<MR画像 矢状断像 正常例>

正常な椎間板は中心部に水分を多く含むため白く写る。
しかし高齢になるにつれて徐々に水分含有量が減り硬くなり、黒く写るようになる。
硬くなった椎間板では椎間板ヘルニアが起こりやすくなる。
*ダックスフンドのような軟骨異栄養犬種は比較的若齢から見られる。

 

<さいごに>

今回の場合は外科手術が適応となり経過は良好です。
椎間板ヘルニアの重症度にもよりますが最も悪いグレードのヘルニア以外では適切な治療を選択すれば基本的に予後は良好です。
ヘルニアのグレードや場所をしっかり見極めるためにもMRI検査は有効です。

当院では精度の高い(高磁場)のMRIを導入しており通常のMRIより早く(そのため麻酔の負担も少なく)より詳細に検査を行うことができます。

 

 

*当院では、高崎市の「MGL付属高度動物医療センター」にてMRI検査を実施しております。
当院からの指示があった場合を除き、まずは富岡総合医療センターをご受診下さい。