<症例情報>
雑種猫
10歳 去勢済みの男の子 4.8kg
主訴:半年程前からキャットタワーの昇り降りをしなくなり、1ヶ月前から後ろ足に力が入りにくくなった
レントゲン検査で異常は見られず、精査のため胸腰部のMRI検査を実施
<MRI検査結果>
造影剤使用後の画像では第4腰椎上(L4)の脊柱管内に脊髄を強く圧迫する腫瘤を確認。
画像の特徴から髄膜腫の可能性が第一に考えられた。
<診断>
その後組織学的検査を依頼し、髄膜腫であることが確定した(橙矢頭)
※組織学的検査:病気の診断の為に、組織や細胞を採取して顕微鏡で観察する検査
脊髄腫瘍の治療方針は発生部位や種類により、大きく異なるため、MRIで腫瘍の位置を把握することや種類を絞り込むことが重要。
症状は発生部位や大きさ、脊髄への圧迫の程度、周囲の浮腫の有無などによって異なる。
椎間板ヘルニアのような急激に発症する病気とは異なり、腫瘍では症状がゆっくり進行する場合がある。
<さいごに>
脊髄腫瘍は中高齢の猫に発生することが多いため、加齢による衰えと誤解されやすい点にも注意が必要です。
日常生活の中にわずかな行動の変化が病気のサインである可能性もあります。
少しでも違和感を覚えるような変化が見られた際は早めに病院へご相談ください。
*当院では、高崎市の「MGL付属高度動物医療センター」にてMRI検査を実施しております。
当院からの指示があった場合を除き、まずは富岡総合医療センターをご受診下さい。