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2025.08.21
画像で見る病気(飼い主様向け)
#10 椎間板ヘルニア(外傷後の急性非圧迫性髄核逸脱:ANNPE)(飼い主様用)

<症例情報>

猫 雑種
13歳 避妊済みの女の子 3.2kg

 

主訴:数日前にキャットタワーから飛び降りて着地に失敗、その後少しずつ後ろ足に力が入りにくくなり来院

 

検査の結果:両後ろ足の弱い麻痺を認めた。精査のためMRI検査へ

 

 

<検査結果>

[腰部矢状断像T2強調画像]
[腰部矢状断像T2強調画像]
[腰部矢状断像MRミエログラフィー]
[腰部矢状断像MRミエログラフィー]

 

    • 腰の脊髄(神経)の一部に浮腫や炎症を疑う画像(出血の可能性は低そう)
    • 神経周囲には神経に影響を与えるような物質はない
    • 病変部位の椎間板にダメージがありそう

 

 

<診断>

    • 椎間板ヘルニアが起こり、その真上を走る脊髄が損傷を受けた
    • 圧迫物質自体は消失、もしくは吸収されて見えていない

→急性非圧迫性髄核逸脱(ANNPE)と診断

 

 

<急性非圧迫性髄核逸脱(ANNPE)>

(ANNPE:Acute Non-compressive Nucleus Pulposus Extrusion)

 

激しい運動や外傷などで急激に椎間板へ圧が加わると、髄核(椎間板の中心部にある柔らかい構造)が押し出され、これにより脊髄を損傷した後に消えていくため、脊髄への圧迫はほぼ残らないタイプの椎間板ヘルニアのことをいう

脊髄への圧迫がないため、外科的治療が必要ないことが多い

 

 

<撮影方法【MRミエログラフィー】>

[MR画像 病変部の横断像 T2強調画像]
[MR画像 病変部の横断像 T2強調画像]
[MR画像 病変部の横断像 T2強調画像]
[MR画像 病変部の横断像 T2強調画像]


レントゲンやCT検査では病変を発見しやすくするために、薬剤を投与して造影という方法を用いることがあります。
今回は当院の精度の高い(高磁場)MRIで検査することで、造影剤を使わずに検査することができました。

 

レントゲンやCTで用いる造影剤は体にとって負担になる場合があります。
今回MRIで造影剤を使わずに撮影することで体への負担を最小限にして検査することができました。

 

 

 

 

*当院では、高崎市の「MGL付属高度動物医療センター」にてMRI検査を実施しております。
当院からの指示があった場合を除き、まずは富岡総合医療センターをご受診下さい。