vomiting and diarrhea

嘔吐・下痢の急激な発症

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突然の嘔吐・下痢とは

犬や猫は比較的嘔吐しやすい動物ですが、「急に繰り返し吐く」「下痢が止まらない」といった症状が同時に、あるいは急激に起こる場合は注意が必要です。夜間診療においても頻繁に相談いただく症状であり、単なる胃腸炎から命に関わる病気まで、原因は多岐にわたります。
飼い主様にとっては「朝まで様子を見ても大丈夫なのか、それともすぐに受診すべきなのか」の判断が難しい症状ですが、嘔吐や下痢は短時間で脱水やショックに進行する危険があるため、夜間でも受診が推奨されるケースが多いです。

嘔吐・下痢を引き起こす主な原因

急性胃腸炎

  • 病原体(ウイルス・細菌)の感染や急な食事の変化によって発症
    水様性の下痢、繰り返す嘔吐、食欲不振が特徴
  • 環境の変化やストレスなどの影響

異物誤食・中毒

  • おもちゃ・骨・布・紐などの誤食
  • チョコレート、タマネギ、薬品などの中毒
  • 嘔吐・下痢の初期症状として現れることがあり、命に直結する場合もある

感染症

  • パルボウイルス感染症(特に子犬で重症化しやすい)
  • コロナウイルス、ジアルジア、コクシジウムなどの寄生虫感染
  • 激しい嘔吐・血便を伴うことがあり、夜間でも緊急対応が必要
  • トリコモナス、回虫、条虫、鉤虫など

膵炎

  • 高脂肪食の摂取後に急激に発症することがあり、繰り返す嘔吐や下痢、腹痛、元気消失を示します。放置するとショック状態に陥ることもあります。

内臓疾患

副腎皮質機能低下症(アジソン病)

特に犬で多く、急な嘔吐・下痢からショック状態に進行することがあります。夜間の来院が多い疾患のひとつです。

甲状腺機能亢進症(猫に多い)

代謝が過剰に上がり、嘔吐や下痢を伴うことがあります。

膵外分泌不全(消化不全)

消化酵素が不足し、慢性的な下痢や体重減少を引き起こします。

腎不全・肝不全

体内の毒素が排出されず、嘔吐や下痢が起こることがあります。

熱中症(5~10月に多発)

高体温により、嘔吐・下痢とともにぐったりする症状が現れ、早急な冷却と輸液が必要です。

神経疾患

前庭疾患

平衡感覚の異常によって、人の車酔いのような状態になり、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。

頭蓋内疾患(脳腫瘍・脳炎・脳梗塞・脳出血など)

嘔吐中枢が刺激され、発作や意識障害に伴って嘔吐が起こることがあります。夜間でも急激に症状が悪化する場合があり、注意が必要です。

主な症状

嘔吐や下痢が急に起こる際に見られる症状は以下の通りです。

  • 数回ではなく、短時間に繰り返し吐く
  • 下痢が止まらず、水様便や血便が見られる
  • 水を飲んでもすぐ吐いてしまう
  • 食欲が急に落ちて元気がなくなる
  • 脱水による皮膚の弾力低下や歯茎の乾燥
  • 震えやぐったりするなど、ショック状態の兆候

これらの症状は夜間に突然出現することが多く、早急に診察を受けなければ命に関わるケースも少なくありません。

診断と治療の流れ

1. 問診

発症時期、嘔吐や下痢の回数、食べたものや誤食の有無を確認します。
※問診では、既往歴や内服薬の有無、食事内容の変更、環境の変化などを詳しくお伺いし、必要に応じて便検査も実施します。

2. 身体検査

脱水や体温、腹部の状態をチェック

3. 画像検査

レントゲンやエコーで腸管や臓器の異常を確認

4. 血液検査

炎症や臓器障害の有無を調べ、重症度を判定

治療は原因と症状の重さによって異なります。

  • 軽度の場合:点滴や投薬で嘔吐・下痢のコントロール
  • 感染症の場合:隔離や抗菌薬、駆虫薬による治療
  • 脱水が強い場合:輸液治療による電解質バランスの補正
  • 臓器疾患の場合:原因に応じた集中的治療
  • 状況によっては入院での治療が必要になる可能性があります

特に夜間は脱水やショックへの進行が早いため、応急処置として輸液や制吐剤をすぐに投与することが重要です。

夜間診療の重要性

嘔吐や下痢は軽く見られがちですが、夜間に急激に症状が悪化することが少なくありません。短時間で脱水が進み、子犬や老齢の動物では命に関わる危険性も高いです。
「翌朝まで様子を見て大丈夫だろう」と判断してしまうと、手遅れになるケースもあるため、夜間診療を行っている動物病院で早急に対応することが大切です。

飼い主さまへのお願い

  • 嘔吐物や下痢便は可能であれば持参してください。診断に役立ちます。
  • 誤食や食事の変更があれば、詳しくお伝えください。
  • 元気がなく水も飲めない状態は非常に危険です。夜間でもためらわずご相談ください。
  • 子犬・子猫、老齢の動物は特に体力がなく、数時間で命に関わる場合があります。
  • 何か普段の生活で変わったこと(環境の変化、近くでの工事、大勢の来客、旅行など)があればお伝えください。

夜間診療のご案内

「嘔吐や下痢が止まらない」「夜中に急に弱ってしまった」そのような症状が見られた場合、夜間診療が命を守るために不可欠です。
当院では夜間でも獣医師が待機し、緊急症状に迅速に対応しています。脱水補正や検査・治療をすぐに行える体制を整えておりますので、少しでも不安があればご連絡ください。

0274-64-0854