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2024.01.10
整形外科
#67 膝蓋骨内方脱臼【整形外科】

6歳のチワワの男の子、右後肢を挙げたまま歩くようになってしまったとの主訴で、当院にご紹介で来院されました。触診にて膝蓋骨(膝のお皿の骨)の脱臼(膝蓋骨が膝の溝から外れてしまうこと)が認められ、鎮静下での整形学的検査、レントゲン検査も実施し他に異常がないことを確認した上で膝蓋骨内方脱臼と診断しました。明らかな臨床症状を呈していたため、飼主様と相談の結果手術に進むこととなりました。
手術は全身麻酔下で実施します。術中、術後の痛みを軽減するため、当院麻酔科の獣医師の協力のもと局所麻酔も併用しました。膝蓋骨が通常はまっている大腿骨の溝(滑車溝)を深くする手術、膝蓋骨の位置に関係する膝蓋靭帯の向きを矯正する手術(脛骨粗面転移術)、その他周囲の筋肉や関節包などの軟部組織を調整する手術(内側支帯解放、外側関節包縫縮)を行いました。
術後の経過もよく、手術から2日で退院。2週間後の抜糸の際には、元通り歩けるように回復してくれました。

 

膝蓋骨脱臼は小型犬で特に多くみられる整形学的疾患です。日本ではトイプードルやチワワ、ポメラニアンなどの飼育頭数が多いこともあり、とても多く認められます。内方脱臼、外方脱臼、両方向性脱臼に分類され、さらに片足だけ罹患している患者もいれば、両足に罹患している患者もいます。膝蓋骨脱臼があれば必ず治療をしないといけないというわけではありませんが、明らかな臨床症状を呈している場合、幼齢時から脱臼の程度が強い場合などには外科的な治療も推奨されています。膝蓋骨脱臼があると指摘されたけれども治療が必要なのかどうか、どのような選択肢があるのかなど、お悩みの場合は当院までご相談ください。

 

 

【術前レントゲン】
【術前レントゲン】
【術前レントゲン】
【術前レントゲン】

 

 

【術後レントゲン】
【術後レントゲン】
【術後レントゲン】
【術後レントゲン】

 

【参照文献】
Mizutani I, Nishi R, Murakami M. Bidirectional Patellar Luxation in Small-or Miniature-Breed Dogs in Japan; Patient Characteristics and Radiographic Measures Compared with Medial Patellar Luxation. Veterinary Sciences 2023;10:692.