5ヶ月齢の猫ちゃんが右後ろ足の跛行で来院されました。高所から落下したとのことで、右下腿部(足の脛の部分)が重度に腫れていました。レントゲン検査を実施したところ、脛骨(脛の太い方の骨)が折れてしまっていました。幸いにも腓骨(脛の細い方の骨)は折れていませんでしたが、脛骨は完全に骨折してしまっており、手術に進むこととなりました。
脛骨は骨の中央部分で骨折し、さらにそこから先端にかけて縦割れしていました。プレートとスクリューを用いて骨折を固定し、手術終了となりました。
まだ若く小さな猫ちゃんでしたが、当院麻酔科獣医師と協力し、無事に手術を終えることができました。術後数日で患肢を使って歩くようになってくれ、今では元気に走り回れるようになりました。
猫では脛骨の骨折は比較的多く認められます。治療にはプレート固定、インターロッキングネイル、創外固定などが一般的に用いられます。また、最小侵襲手術としてのプレート固定や創外固定、創外プレーティングなども報告されており、可能な限り骨周囲の組織を傷つけずに血流を温存して治療する手段も研究されています。当院でも適応可能な患者には、術中透視撮影を行い、最小侵襲で手術を終えられるよう努めています。
【参照文献】
Nicetto T, Longo F. Supracutaneous plating using a locking plate for the treatment of a tibial fracture in a cat. Can Vet J 2017;58:585-590.