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2023.10.20
整形外科
#63 レッグペルテス病【整形外科】

10ヶ月のトイプードルのわんちゃんが、1ヶ月前から続く左後肢の跛行で来院されました。左後肢はほぼ挙上しており、右後肢に比べて筋量も随分低下してしまっていました。整形学的検査では左股関節の拘縮を認め、レントゲン検査の結果、左大腿骨頭の変形を認めました。一部が骨折している可能性も疑われました。レッグペルテス病と診断し、救済的手術として大腿骨頭頸部切除術を実施しました。
左の股関節を切開し、大腿骨頭を露出させると、部分的に壊死した大腿骨頭が認められました。大転子窩から小転子レベルまで予定通り骨切りを実施しました。
術後は積極的な疼痛管理、リハビリを行い、体重が軽かったこともありとても早く回復してくれました。術後1週間で患肢を使い始め、3週間後には上手に歩けるようになってくれました。

 

股関節疾患における救済的処置としての大腿骨頭切除術は人医療において提唱され、1960年頃から動物でも実施されてきました。痛みの原因となっている大腿骨頭と寛骨臼の接触をなくすことで、痛みを除去することができます。ただし手術は正しい場所を正しい角度で骨切りする必要があり、誤った骨切りは術後の機能回復不良、痛みの持続に繋がります。慢性疾患により筋肉の萎縮が重度の患者では回復に時間がかかる場合があります。また、差はないとする報告もありますが、大型犬ではより回復が悪いとする報告もあるため、体重の重たい患者では注意が必要です。当院では適切な手術を実施し、術後の管理も徹底的に行なっていくことを心がけています。

 

【術前画像】
【術前画像】
【術前画像】
【術前画像】

 

【術後画像】
【術後画像】

 

【参照文献】
Krystalli AA, Prassinos NN, Sideri A. Femoral head and neck excision in dogs and cats. Hellenic J Comp Anim Med 2019;8:134-149.