手術は犬でスタンダードな方法と同様の手法で実施しました。膝蓋骨がはまっている大腿骨の溝(滑車溝)を深く掘り直す手術、膝蓋靭帯の付け根の位置を矯正する手術(脛骨粗面転移術)、周囲の筋肉などを調整する手術(内側支帯解放、外側関節包縫縮)を行い、脛骨粗面転移術についてはテンションバンドワイヤでの補強も併用しました。
麻酔の覚醒も問題なく、手術から2日後には退院が可能でした。
膝蓋骨内方脱臼は犬で多くみられる関節疾患ですが、猫でも発生します。犬に比べると発生率はとても低いものの、ベンガルなどの猫種によくみられます。治療のコンセプトは原則的に犬と同様であり、合併症発生率も26%と、犬と大きな差はないとする報告もあります。しかしながら犬と猫では運動機能や生活も異なるため、特に術後管理には注意が必要と考えられます。
【術前画像】
【術後画像】
【参照文献】
Rutherford L, Langley-Hobbs SJ, Whitelock RJ, et al. Complications associated with corrective surgery for patellar luxation in 85 feline surgical cases. Journal of feline medicine and surgery 2015;17:312-317.