骨折した場所は脛骨の端っこであり、固定するにも小さなピンが何とか入るほどのスペースしかありませんでした。元通りの位置に骨折部位を整復し、クロスピン変法で固定しました。
術後は外固定も併用して管理しましたが、術後1ヶ月時点でほぼ元通り運動は可能であり、術後2ヶ月で完全に治療終了となりました。ピンを抜く必要もありませんでした。
脛骨遠位成長板骨折は#45の大腿骨遠位成長板骨折と同じように若齢の動物で発生が多く、猫でも多くは1歳以下での発生です。手術は従来、2本のピンで固定し、術後に外固定を2~4週間併用して安静管理する方法が主流でした。最近ではピンの数を増やすことで、術後の外固定をつけておく期間(約2日間)を短くできる報告もあります。今回の患者さんでは外固定も2週間併用しましたが、もっと短く済むかもしれません。動物にとってより負担が少なく、より安全で確実な治療ができるよう日々努力しています。
レントゲン画像
【術前】
【術後】
【参照文献】
Miraldo D, Salmelin B, Yeadon R. Feline Distal Tibial Physeal Fracture Repair Using a Modified Cross-Pin Technique with Four Pins. Veterinary and Comparative Orthopaedics and Traumatology 2020;33:220-226.