<症例情報>
トイ・プードル 12歳 6か⽉齢
去勢済みの男の⼦
⼼雑⾳を認める
主訴:粘液腫様僧帽弁疾患ステージ B2 のわんちゃんの定期検診
<心臓超音波検査結果>



<診断・治療⽅針>
「粘液腫様僧帽弁疾患ステージ B2」
今回の⼼臓超⾳波検査では、僧帽弁からの⾎液の逆流は認められるものの、⼼臓のサイズの拡⼤や負荷の増加は認められませんでした。そのため、現在の治療(強⼼薬・⾎管拡張薬など)を継続しながら経過観察となりました。
<粘液腫様僧帽弁疾患とは>
わんちゃんの⼼臓は、右⼼房/右⼼室・左⼼房/左⼼室という 4 つの部屋からできています。それぞれの間には⾎液が逆流しないように「弁」があります。そのうち、左⼼房と左⼼室を隔てているのが「僧帽弁」です。
粘液腫様僧帽弁疾患とは、この僧帽弁がしっかり閉まらなくなり、⾎液が逆流してしまう病気です。初期には症状が出ないこともありますが、進⾏すると
・疲れやすい
・咳が増える
・呼吸が速くなる
といった症状が認められます。
さらに悪化すると、肺⽔腫(肺に⽔が溜まる状態)を起こし、陸にいながら溺れているような⾮常に苦しい状態になることもあります。
肺⽔腫の状態になると、 ⼊院や酸素治療、重度では⼈⼯呼吸が必要になることもあります。
わんちゃんの約 10%が⼼臓病を持っており、その中でも粘液腫様僧帽弁疾患は約75%を占める、とても⼀般的な病気です。
<検査と治療について>
定期的な⾎液検査や⾎圧測定、⼼電図検査、X 線検査、⼼臓超⾳波検査は、病態の進⾏を把握し、適切なお薬を選ぶために⾮常に重要です。
粘液腫様僧帽弁疾患は、国際的なガイドラインで病気の進⾏度(ステージ)が分類されており、ステージごとに推奨される治療や検査間隔が異なります。治療の中⼼となるのは、⼼臓の収縮を助ける強⼼薬(ピモベンダン)で、 状態によっては他のお薬を併⽤します。
当院では、このガイドラインを参考にしながら、⽇頃の⽣活の様⼦も踏まえて治療内容を調整し、⼤切なご家族であるわんちゃんの命を守ることを第⼀に診療しています。
近年では粘液腫様僧帽弁疾患に対して根治を⽬的とした⼼臓外科⼿術が専⾨病院で⾏われるようになってきました。ご希望の⽅は担当医までご相談ください。
心不全発症リスクの高い犬種(キャバリア、ダックスフンド、ミニチュア・プードル、トイ・プードル、マルチーズ、チワワ、ヨークシャー・テリア、シーズー、ミニチュアシュナウザーなど)
治療の必要なし

僧帽弁閉鎖不全に伴う心雑音を有する
心臓拡大を認めない
治療の必要なし
定期検診推奨
心臓拡大を認める
内服開始
定期検診推奨
自宅で呼吸数カウント推奨

現在または過去に心不全を引き起こしたことがある(肺水腫)
ステージB2治療薬+利尿薬などの内服開始

ステージC治療抵抗性の心不全
更なる内服の強化
