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2022.08.31
整形外科
#45 大腿骨遠位成長板骨折【整形外科】
当院へは外傷患者さんも多く来院されますが、なぜか大腿骨骨折の患者さんが比較的多いと感じます。

8ヶ月齢のチワワのわんちゃんで、高所から落下し右の後ろ足を痛がっているとのことで来院されました。来院時右後肢は完全に挙上(足を地面に着けられない様子)しており、強い痛みを伴っていました。レントゲン検査にて大腿骨遠位成長板(太ももの骨の、骨を作る部分)の骨折を認め、外科的整復が必要な状態と判断しました。

手術はまずピンを使った方法で固定をしましたが、骨が小さ炒め細いピンしか設置できず、固定力が不十分と判断しロッキングプレートも中和プレートとして併用しました。

1.5kg弱しかない小さなわんちゃんでしたが、当院麻酔科の松浦獣医師の協力もあり無事に手術を終えることができました。

術後2週間の検診の際にはほぼ元通り歩くことができていました。

 

大腿骨遠位成長板骨折は若齢の動物で発生が多く、ほとんどは5ヶ月齢〜8ヶ月齢で発生を認めるという報告があります。成長板は骨を作り出す場所であり、このような骨折ではできるだけ成長板の機能を温存できるような固定方法が良いとされています(骨折自体でダメージは受けてしまいますが)。そのため通常、ピンだけで固定されることも多いですが、今回の患者さんでは成長期もほぼ終わり間際と考えられたため、プレートも併用するに至りました。それぞれの患者さんに合わせて可能な最良な方法を選択できるよう、日々準備と研鑽を続けています。

 

レントゲン画像

【術前】

 

【術後】

 

【参照文献】

 LORINSON D, MILLIS DL, BRIGHT RM. Determination of safe depth of pin penetration for repair of distal femoral physeal fractures in immature dogs: a comparison of normograde and retrograde pin placement. Veterinary Surgery 1997;26:467-471.