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2022.06.17
整形外科
#40 前十字靭帯断裂【整形外科】
今回は5歳のウェルシュ・コーギーのわんちゃんです。散歩中に急に右の後ろ足を痛がり出したとのことで来院されました。来院時には足をほぼ着けられないくらい痛みがありました。触診の時点で右の膝関節が腫れており、整形学的検査、レントゲン検査、関節液検査を行い、前十字靭帯断裂と診断しました。まだ若く活動的なわんちゃんであり、運動機能の回復と将来的な関節疾患の予防を目指して外科手術に進むこととなりました。

手術はTPLO術を実施しました。膝関節の中を探査すると、前十字靭帯は完全に断裂しており、半月板も割れてしまっていました。半月板の処置、TPLOを施し終了としました。全身麻酔も問題なく乗り切ってくれ、術後2日で退院が可能でした。

 術後も順調に回復してくれ、術後1ヶ月時点で跛行はわからないほどに回復しました。先日術後3ヶ月の検診を終え、治療終了となりました。

 

 犬の前十字靭帯疾患に対する手術で現在主流なのはTPLOなどの骨矯正手術です。これらの手術は術後も比較的早く回復してくれる患者が多く、複雑なリハビリが必要になることも正直なところあまりありません。しかしながらTPLOの術後に効果が認められているリハビリとして冷却療法と運動療法があり、取り入れることで回復が早くなるとされています。当院では退院後のご自宅での安静管理やケアと同時に、ご自宅でも可能な簡単なリハビリプランをご家族に合わせてお渡ししています。術後のケアも徹底的に行い、安心して手術を受けて頂けるよう準備を整えています。

 

【術前レントゲン】

 

【術後レントゲン】

 

【参照文献】

Alvarez LX, Repac JA, Kirkby Shaw K, et al. Systematic review of postoperative rehabilitation interventions after cranial cruciate ligament surgery in dogs. Veterinary Surgery 2022;51:233-243.