<症例情報>
雑種猫 3歳 5か⽉齢
去勢済みの男の⼦
⼼雑⾳を認める
主訴:⼼臓の定期検診
<心臓超音波検査結果>



<診断・治療⽅針>
「閉塞性肥⼤型⼼筋症ステージ B1」
今回の⼼臓超⾳波検査では、 ⼤動脈へ流れる⾎液の速度がやや速くなっている所⾒が確認されました。現在、ねこちゃんに症状はありませんが、圧⼒が強い状態が続くと、⼼臓の筋⾁が厚くなったり不整脈を引き起こす可能性があるため、 お薬の量を調整しています。
<閉塞性肥⼤型⼼筋症とは>
ねこちゃんの⼼臓は、右⼼房/右⼼室・左⼼房/左⼼室という 4 つの部屋からできています。
肥⼤型⼼筋症とは、左⼼室の壁が厚くなってしまい、⾎液をうまく送り出せなくなる病気です。その中でも「閉塞性肥⼤型⼼筋症」とは、左室流出路(左⼼室の出⼝)が、厚くなった⼼筋や僧帽弁によって狭くなるタイプを指します。
初期には症状が出ないこともありますが、進⾏すると⼼臓が⼤きくなり、疲れやすい・呼吸が速くなるといった症状があらわれます。さらに悪化すると、肺⽔腫(肺に⽔が溜まる状態)を起こし、陸にいながら溺れているような⾮常に苦しい状態になることもあります。
ねこちゃん全体の約 15%にみられる⽐較的よくある⼼臓病で、重症化すると突然死のリスクもあるため注意が必要です。
<検査と治療について>
定期的な⾎液検査や⾎圧測定、X 線検査、⼼臓超⾳波検査は、肥⼤型⼼筋症の進⾏を把握し、適切なお薬を選ぶために⾮常に重要です。
肥⼤型⼼筋症は、国際的なガイドラインで病気の進⾏度(ステージ)が分類されており、ステージごとに推奨される治療が異なります。
今回の治療の中⼼となるのは、⼼拍数を抑えるお薬(アテノロールなど)です。
必要に応じて他のお薬を併⽤することもあります。
当院では、このガイドラインを参考にしながら、⽇頃の⽣活の様⼦も踏まえて治療内容を調整し、⼤切なご家族であるねこちゃんの命を守ることを第一に診療しています。
また、⼼雑⾳がなくても、肥⼤型⼼筋症が隠れていることがあります。そのため、症状がなくても定期的な⼼臓の検査がとても⼤切です。健康なねこちゃんでも1年に1回の定期検診をおすすめしています。
心不全発症リスクのある猫種(メインクーン、ラグドール、プリティッシュショートヘア、アメリカンショートヘア、スコティッシュフォールド、ペルシャ、ベンガル、スフィンクス、ノルウェージャンフォレストキャット、ビルマ、雑種など)
治療の必要なし

心筋症を有するが、臨床的微候を認めない
心房拡大を認めない
治療の必要なし
定期検診推奨
心房拡大を認める
内服開始
定期検診推奨
自宅で呼吸数カウント推奨

現在または過去に心不全(肺水腫)または動脈血栓塞栓症を起こしたことがある
ステージB2治療薬+利尿薬などの内服開始

ステージC治療抗体性の心不全
更なる内服の強化
