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2025.12.15
循環器科
#3 肺⾼⾎圧症【循環器科】

<症例情報>

雑種⽝ 16歳 8か⽉齢
去勢済みの男の⼦、⼼雑⾳を認める

 

主訴:ふらつきがある

 

 

<心臓超音波検査結果>

肺⾼⾎圧症
肺⾼⾎圧症
肺⾼⾎圧症

 

 

 

<診断・治療⽅針>


「肺⾼⾎圧症」

 

今回の⼼臓超⾳波検査では、 三尖弁からの⾎液の逆流が以前よりも増えていることが確認されました。 また、右⼼室の圧⼒が⾼くなり、左⼼室が押されて細く⾒えるような所⾒や、肺動脈の拡張も認められました。現在、⽇常⽣活で症状はありませんが、⼼臓への負担が以前より増えている状態のため、肺の⾎管を広げて⼼臓の負担を軽減するお薬の内服を始めることになりました。

 

 

<肺⾼⾎圧症とは>

わんちゃんの⼼臓は、右⼼房/右⼼室・左⼼房/左⼼室という 4 つの部屋からできていま
す。それぞれの間には⾎液が逆流しないように「弁」があります。そのうち、右⼼房と
右⼼室を隔てているのが「三尖弁」です。

 

肺⾼⾎圧症とは、肺に⾎液を送る「肺動脈」の⾎圧が上がる状態を指します。
原因には次のようなものがあります。
・肺の⾎管が狭くなること
・僧帽弁の逆流が悪化したことによる続発性のもの
・慢性的な呼吸器疾患
・⾎栓(⾎の塊)ができること
・フィラリア感染
これらの原因によって肺動脈の圧⼒が⾼くなると、右⼼室に負担がかかり、その結果、
三尖弁から⾎液が逆流するようになる場合があります。

 

初期には症状が出ないこともありますが、進⾏すると以下のような症状が⾒られます。
・疲れやすい
・呼吸が速くなる
・失神する
・咳が増える
重度になると、突然死を引き起こすこともあるため注意が必要です。

 

 

 

<検査と治療について>

定期的な⾎液検査や⾎圧測定、X 線検査、⼼臓超⾳波検査は、肺⾼⾎圧症の進⾏を把握し、適切なお薬を選ぶために⾮常に重要です。

 

肺⾼⾎圧症は、国際的なガイドラインに基づき、原因(基礎疾患)によって 6 つのグルー
プに分類されます。そのグループごとに、治療の⽅向性やお薬の選択が異なります。

 

治療の中⼼となるのは、肺の⾎管を広げる薬(シルデナフィルなど)です。原因によって
は、他のお薬を併⽤することもあります。

 

また、フィラリア症も肺⾼⾎圧症の原因の⼀つですので、毎年 5~12 ⽉ごろまでのフィ
ラリア予防がとても⼤切です。

 

当院では、このガイドラインを参考にしながら、⽇頃の⽣活の様⼦も踏まえて治療内容
を調整し、⼤切なご家族であるわんちゃんの命を守ることを第⼀に診療しています。

 
 
執筆獣医師:前⽥雄也