<症例情報>
雑種猫 2歳7か月齢
去勢済みの男の子
心雑音を認める
主訴:心雑音の精査のため紹介来院
<心臓超音波検査結果>



<診断・治療⽅針>
「閉塞性肥大型心筋症ステージB1」
今回の心臓超音波検査では、左心室の壁が厚くなり、大動脈に血液を送り出す出口が少し狭くなっていることが確認されました。ただし、ねこちゃんには症状がなく、検査上でも重度ではなかったため、今回はお薬を使わずに経過観察となりました。
<肥大型心筋症とは>
ねこちゃんの心臓は、右心房/右心室・左心房/左心室という4つの部屋からできています。
肥大型心筋症とは、左心室の壁が厚くなってしまい、血液をうまく送り出せなくなる病気です。
初期には症状が出ないこともありますが、進行すると心臓が大きくなり、疲れやすい・呼吸が速くなるといった症状があらわれます。さらに悪化すると、肺水腫(肺に水が溜まる状態)を起こし、陸にいながら溺れているような非常に苦しい状態になることもあります。
<検査と治療について>
粘液腫様僧帽弁疾患は、国際的なガイドラインで病気の進⾏度(ステージ)が分類されて
おり、ステージごとに推奨される治療や検査間隔が異なります。
当院では、このガイドラインを参考にしながら、⽇頃の⽣活の様⼦も踏まえて治療内容
を調整し、⼤切なご家族であるわんちゃんの命を守ることを第⼀に診療しています。
また、心雑音がなくても、肥大型心筋症が隠れていることがあります。そのため、症状がなくても定期的な心臓の検査がとても大切です。健康なねこちゃんでも1年に1回の定期検診をおすすめしています。
心不全発症リスクのある猫種(メインクーン、ラグドール、プリティッシュショートヘア、アメリカンショートヘア、スコティッシュフォールド、ペルシャ、ベンガル、スフィンクス、ノルウェージャンフォレストキャット、ビルマ、雑種など)
治療の必要なし

心筋症を有するが、臨床的微候を認めない
心房拡大を認めない
治療の必要なし
定期検診推奨
心房拡大を認める
内服開始
定期検診推奨
自宅で呼吸数カウント推奨

現在または過去に心不全(肺水腫)または動脈血栓塞栓症を起こしたことがある
ステージB2治療薬+利尿薬などの内服開始

ステージC治療抗体性の心不全
更なる内服の強化
