<症例情報>
チワワ 9歳10か月齢
未去勢の男の子
心雑音を認める
主訴:粘液腫様僧帽弁疾患ステージ B1のわんちゃんの定期検診
<心臓超音波検査結果>



<診断・治療⽅針>
「粘液腫様僧帽弁疾患ステージB2」
今回の⼼臓超⾳波検査では、僧帽弁からの⾎液の逆流が以前よりも増えており、⼼臓が
拡⼤してきていることが確認されました。そのため、⼼臓の働きを助けて病気の進⾏を
遅らせる⽬的で、ピモベンダンというお薬の内服を始めることになりました。
<粘液腫様僧帽弁疾患とは>
わんちゃんの⼼臓は、右⼼房/右⼼室・左⼼房/左⼼室という4つの部屋からできていま
す。それぞれの間には⾎液が逆流しないように「弁」があります。そのうち、左⼼房と
左⼼室を隔てているのが「僧帽弁」です。
粘液腫様僧帽弁疾患とは、この僧帽弁がしっかり閉まらなくなり、⾎液が逆流してしま
う病気です。初期には症状が出ないこともありますが、進⾏すると⼼臓が⼤きくなり、
疲れやすい・咳が出る・呼吸が速くなるといった症状があらわれます。
さらに悪化すると、肺⽔腫(肺に⽔が溜まる状態)を起こし、陸にいながら溺れているよ
うな⾮常に苦しい状態になることもあります。
<検査と治療について>
粘液腫様僧帽弁疾患は、国際的なガイドラインで病気の進⾏度(ステージ)が分類されて
おり、ステージごとに推奨される治療や検査間隔が異なります。
当院では、このガイドラインを参考にしながら、⽇頃の⽣活の様⼦も踏まえて治療内容
を調整し、⼤切なご家族であるわんちゃんの命を守ることを第⼀に診療しています。
近年では粘液腫様僧帽弁疾患に対して根治を⽬的とした⼼臓外科⼿術が専⾨病院で⾏
われるようになってきました。ご希望の⽅は担当医までご相談ください
心不全発症リスクの高い犬種(キャバリア、ダックスフンド、ミニチュア・プードル、トイ・プードル、マルチーズ、チワワ、ヨークシャー・テリア、シーズー、ミニチュアシュナウザーなど)
治療の必要なし

僧帽弁閉鎖不全に伴う心雑音を有する
心臓拡大を認めない
治療の必要なし
定期検診推奨
心臓拡大を認める
内服開始
定期検診推奨
自宅で呼吸数カウント推奨

現在または過去に心不全を引き起こしたことがある(肺水腫)
ステージB2治療薬+利尿薬などの内服開始

ステージC治療抵抗性の心不全
更なる内服の強化
