幸いにも腕以外に大きなケガはありませんでしたが、橈骨は複雑骨折となっており、外科手術に進むこととなりました。
手術は橈骨をロッキングプレートで、尺骨は通常のプレートで固定しました。橈骨の骨折は肘に近い部分で複雑に骨折しており大変な手術でしたが、当院麻酔科の松浦先生、動物看護師と協力し無事に手術を終えることができました。
術後は4週間、外固定も併用して安静管理を行い、骨も無事に癒合してくれました。先日術後3ヶ月の検診を終え、問題なく歩行もでき、治療終了となりました。
猫では犬に比べて皮質骨(外側の骨)が薄く、さらにより高い所からの落下事故も多いため、複雑骨折となることが多くあります。複雑骨折の際には骨の位置関係を修復した上で可能な限り侵襲を避け、生物学的癒合を目指すことが原則であり、ロッキングプレートは非常に役に立ちます。当院は外傷で来院される患者さんも多く、あらゆる状況に対応できるよう機材の準備をしています。ですが、何よりもこういった事故が少なくなることを願っています。
レントゲン画像
【術前】
【術後】
【参照文献】
Scott H. Repair of long bone fractures in cats. In Practice 2005;27:390-397.