1歳の秋田犬で24kgのわんちゃん、車との接触事故で来院されました。左の大腿骨(太ももの骨)に骨折を認めており、手術が必要な状態と判断しました。
手術はロッキングプレートを用いて骨を固定する方法で行いました。骨折が治っていくにはしっかりとした固定が必要ですが、体重も大きくまだ若い活発なわんちゃんであり、プレート1枚では十分な強度が得られないと判断し、2枚のプレートを用いて固定を行いました。術後3日後には患肢を使いはじめてくれており、今後2~3ヶ月かけてしっかり骨が癒合してくれれば元通りの運動ができると思います。
人間のようにギプスをして厳密に安静が難しい動物の骨折においては、多くのケースで手術が必要になります。手術の方法は様々ですが、最も主流なものの1つがプレート固定です。プレート固定を行う際、プレートは骨がしっかりと癒合するまでの間(通常2~3ヶ月)、しっかりと体重を支えられるほど強固である必要があります。骨が癒合する前にプレートが曲がってしまったり折れてしまったりするとうまく治っていきません。プレートを設置する際のスクリューの数や位置もプレートの強さに影響します。今回の患者ではプレートのworking length(骨折部位に一番近い2本のスクリューの間の距離)が長くなってしまい強度に若干の不安があったこと、体重が大きく若く活発な子であったことからプレートをもう1枚追加し補強しました。当院ではあらゆる状況に対応できるよう、設備や器具を準備しています。お困りの際は当院整形外科までお声がけください。
レントゲン画像
【術前】
【術後】
【参照文献】
Chao P, Conrad BP, Lewis DD, et al. Effect of plate working length on plate stiffness and cyclic fatigue life in a cadaveric femoral fracture gap model stabilized with a 12-hole 2.4 mm locking compression plate. BMC veterinary research 2013;9:1-7.