左股関節にアプローチすると、変形し骨折した大腿骨頭が確認できました。予定通り骨頭頚部切除術を実施し、手術終了としました。
レッグペルテス病は大腿骨頭へ血液を供給する血管が成長期にうまく発達しないまたは退縮してしまうことで先端の骨や軟骨組織に壊死が起こると考えられている病気であり、残念ながら自然治癒する疾患ではありません。多くは外科的治療が必要となり、その一つとして大腿骨頭頚部切除術は従来から一般的に選択される術式です。歩行機能の回復には時間がかかり、積極的なリハビリが必要なこともありますが、痛みを取り除くことで日常的な運動は可能となります。しかしながら患肢はやや短縮し、運動機能障害が続く場合もあります。代替の治療方法として人工関節による股関節全置換術も小動物において発展してきていますが、残念ながらまだどこの地域でも一般的に実施できる方法ではありません。当院では現時点で大腿骨頭頚部切除術を第一選択としていますが、そのメリット、予後やリスクに関するインフォームドコンセントを徹底し、理学療法や東洋医療も含めたサポート体制の構築に注力しています。
【術前画像】
【術後画像】
【参照文献】
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