病院からのお知らせ

症例情報

症例情報

#54 膝蓋骨内方脱臼(猫)【整形外科】

投稿日:

1歳半のベンガルの猫ちゃんが運動後からの左後肢の跛行を主訴に来院されました。触診、生計学的検査、レントゲン検査の結果、膝蓋骨内方脱臼(膝のお皿が大腿骨の上から横に外れる病気)と診断しました。重症度は4段階中の2(4が一番重症)でした。数週間の保存的管理の後も跛行が改善しなかったため、飼主様と相談の結果手術に進むこととなりました。

手術は犬でスタンダードな方法と同様の手法で実施しました。膝蓋骨がはまっている大腿骨の溝(滑車溝)を深く掘り直す手術、膝蓋靭帯の付け根の位置を矯正する手術(脛骨粗面転移術)、周囲の筋肉などを調整する手術(内側支帯解放、外側関節包縫縮)を行い、脛骨粗面転移術についてはテンションバンドワイヤでの補強も併用しました。

麻酔の覚醒も問題なく、手術から2日後には退院が可能でした。

 

膝蓋骨内方脱臼は犬で多くみられる関節疾患ですが、猫でも発生します。犬に比べると発生率はとても低いものの、ベンガルなどの猫種によくみられます。治療のコンセプトは原則的に犬と同様であり、合併症発生率も26%と、犬と大きな差はないとする報告もあります。しかしながら犬と猫では運動機能や生活も異なるため、特に術後管理には注意が必要と考えられます。

【術前画像】

【術後画像】

【参照文献】

Rutherford L, Langley-Hobbs SJ, Whitelock RJ, et al. Complications associated with corrective surgery for patellar luxation in 85 feline surgical cases. Journal of feline medicine and surgery 2015;17:312-317.

-症例情報

執筆者:

関連のお知らせ

#25 膝蓋骨内方脱臼【整形外科】

先週は膝蓋骨内方脱臼のわんちゃんの手術がありました。 2歳のポメラニアンのわんちゃんで、右後肢を時々挙上する(ケンケンする)とのことで来院されました。 右後肢では膝蓋骨(膝のお皿の骨)の内方脱臼を認め …

#45 大腿骨遠位成長板骨折【整形外科】

当院へは外傷患者さんも多く来院されますが、なぜか大腿骨骨折の患者さんが比較的多いと感じます。 8ヶ月齢のチワワのわんちゃんで、高所から落下し右の後ろ足を痛がっているとのことで来院されました。来院時右後 …

#7 前十字靭帯断裂【整形外科】

先日は前十字靭帯断裂の患者さんが続き、1日に2件の前十字靭帯断裂に対する手術を行いました。 2件目は9歳のわんちゃんで、左後肢を跛行(びっこ)しているとのことで来院されました。身体検査で左膝関節のDr …

#53 脛骨遠位成長板骨折【整形外科】

10ヶ月齢の猫ちゃん、ケージの隙間に足が挟まってしまい、暴れた結果右の後ろ足を骨折してしまいました。レントゲン検査にて右脛骨の遠位成長板(骨の端にある、骨を作る部分)の骨折を認めました。外科的整復が必 …

#39 前十字靭帯断裂【整形外科】

8歳のトイプードルのわんちゃん、以前から右後肢の前十字靭帯部分断裂を診断していましたが、症状が極めて軽かったため保存的に管理していました。今回急に左の後ろ足を痛がり出したとの主訴で来院されました。左後 …

さいとう動物病院

さいとう動物病院

年中無休(年末年始を除き)
診察時間:9時~12時/15時~19時
土・日・祝日も診察
群馬県富岡市中高瀬117
0274-64-0854
安中市・高崎市・前橋市・藤岡市・吉井町からもアクセス良好です。
お電話でのお問い合わせ