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#51 前十字靭帯断裂【整形外科】

投稿日:2022年12月9日 更新日:

左後肢の跛行(足を引きずって歩くこと)を主訴に紹介来院された8歳のトイプードルのワンちゃん。左後肢は地面に着けられない程痛みが強く、触診、検査の結果、膝蓋骨内方脱臼を伴う前十字靭帯の断裂と判断しました。鎮痛剤を投与しても跛行は改善せず、運動機能の回復と将来的な関節の病気を予防する目的で手術に進むこととなりました。

手術は全身麻酔下で行います。前十字靭帯は完全に断裂しており、膝の中のクッションである半月板も割れてしまっていました。関節内をきれいに処置し、TPLO法という“前十字靭帯がなくても安定して歩けるように骨矯正する手術”を実施しました。

関節の手術は侵襲の強い手術であることが多く、徹底した疼痛管理が必須です。今回も米国獣医麻酔疼痛管理専門医の小田先生と共に麻酔管理を行い、局所麻酔を含む様々な手段を駆使して疼痛管理を行いました。術後2日目には足先を着けて歩行ができるようになり、術後3ヶ月が経過して今では元通り運動ができるまで回復してくれています。

 

 犬の前十字靭帯断裂に対する治療法には、外科的治療(手術)と保存的治療(手術以外の方法)があります。外科的治療では大きく改善が見込める疾患ですが、保存的治療でも減量や理学療法、薬剤を用いて積極的に治療していくことである程度症状が緩和される場合もあります。しかしながら早期の運動機能回復や痛みの除去、将来的な骨関節症(靭帯が切れて関節が不安定な状態が続くことで関節の軟骨がダメージを受けていく進行性の病気)の予防の観点からは外科的治療が第一選択として推奨されています。当院でも外科的治療を第一選択としていますが、治療に入る前にご家族と徹底的にお話させて頂き、リハビリや東洋医療も取り入れ状況に合わせた治療方法をご提案できるよう準備しています。

 

【術前レントゲン】

【術後レントゲン】

 

【参照文献】

Wucherer K, Conzemius M, Evans R, et al. Short-term and long-term outcomes for overweight dogs with cranial cruciate ligament rupture treated surgically or nonsurgically. Journal of the American Veterinary Medical Association 2013;242:1364-1372.

 

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