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診療実績

2022.11.16
整形外科
#50 橈尺骨骨折【整形外科】
2歳のトイプードルのわんちゃんで、落下後からの右前足の挙上を主訴に来院されました。痛みも強く、レントゲン検査の結果、橈尺骨(前腕の骨)の骨折を認めました。完全骨折であり、治療には外科的介入が必要でした。

骨折部位の皮膚を切開し、折れた骨同士を元の形に合わせ、チタン製ロッキングプレートを用いて固定しました。チタンプレートはやや剛性は下がるものの、生体親和性の高さなど利点があります。術後の経過も問題なく、手術後3日で元気に退院できました。

術後1週間の再診時にはすでに問題なく歩けており、術後1ヶ月で骨が癒合し始めた様子も確認できました。術後3ヶ月が経過し、治療は終了となりました。

 

小動物の四肢の骨折には、多くの場合でプレートとスクリューによる内固定が用いられます。プレートを用いた骨折整復の成功率は高いことが知られていますが、ただ固定するだけではなく、どの場所のどんな骨折なのか、どんな癒合方式を目指すのか、どんなインプラントが使えるか、どれくらいの負荷が予想されるのか、その負荷に耐えうるためにはどんな素材のどんな形状、サイズのインプラントが必要か、などなど配慮すべき点が多くあります。可能な限り正常な状態へ回復できるよう、合併症の発生率を下げられるよう、毎回最善を尽くす努力をしています。

 

【術前】

【術後】

【参照文献】

Roe S. Biomechanics of Fracture Fixation. Vet Clin North Am Small Anim Pract 2020;50:1-15.