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#49 前十字靭帯断裂【整形外科】

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12歳の雑種のわんちゃん、左後肢の跛行を主訴に来院されました。触診、整形学的検査、レントゲン検査の結果、前十字靭帯の断裂と判断しました。足の痛みも強く重度の跛行(引きずること)が認められました。24kgと大きなわんちゃんで、まだまだお散歩も大好きな活動的で子であり、運動機能の回復を目指して外科手術に進むこととなりました。

関節内をよく検査すると、前十字靭帯は完全に断裂して炎症を起こし、内側半月板も割れてしまっていました。関節内をきれいに処置し、脛骨高平部水平化骨切術(TPLO)を実施しました。

本来術後は数日(当院ではだいたい3日程度)は入院で術後管理、疼痛管理を行いますが、やや不安を感じやすい子であり、飼い主様の希望もあって相談の結果手術翌日に退院し、通院での術後管理を行うことになりました。当院麻酔疼痛管理科の獣医師とも連携し、通院でのケアも大きな問題なく終え、元気に歩けるようになってくれました。先日術後3ヶ月が経過し、治療終了となりました。

 

 前十字靭帯断裂は犬の後肢に起きる整形疾患のうちでもとても多い部類に入ります。現時点で自然治癒は望めないため、外科的治療が第一選択とされており、様々な手術方法が提唱されています。その中でTPLOは最もデータが豊富な手術であり、現在の主流と言えます。しかしながら特殊な機器や経験が必要であり、術前計画や手術手技がしっかりしていないと目的通りの効果が得られないケースもあります。今回は大きなわんちゃんでしたが、特に小型犬での手術にはより注意が必要なこともわかっています。当院でも複数の獣医師、看護師でチームを組み、日々研鑽をつみながらより確実で安全な治療が提供できるよう努力しています。

【術前レントゲン】

【術後レントゲン】

 

【参照文献】

Mazdarani P, Gundersen R, Nielsen M, et al. Geometric modelling of error sources for tibial plateau levelling osteotomy in the dog. Research in Veterinary Science 2022;145:229-237.

 

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