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#43 脛骨骨折【整形外科】

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2ヶ月齢の猫ちゃんが左後肢の跛行を主訴に来院されました。受傷の原因は分かりませんでしたが、左の脛骨および腓骨(スネの骨)が骨折してしまっていました。骨折部位は大きく変位してしまっており、整復手術に進むこととなりました。

骨折の整復手術では、近年ではプレートとスクリューを用いた固定方法が最も一般的です。しかしながら今回の患者さんは幼齢であり、骨がまだ成長途中でした。体内に残るプレート等を用いることは骨の成長に伴い問題が起こる可能性があるため、今回は創外固定という方法を選択しました。創外固定は骨に皮膚の外から数本のピンを通し、ピン同士を体の外で連結して固定する方法で、骨折部位に金属等の異物が入らないことから体本来の治癒力が損なわれず、早期の癒合が期待できます。さらに今回は皮膚を切開しない最小侵襲手術として整復を行ったため、骨や組織に与えるダメージを最小限にすることができました。

800gの小さな患者さんでしたが、麻酔も無事に乗り越えてくれ、当日夜から食事も摂れていました。骨折が着実に治りつつ、大きく成長してくれることを願っています。

 

通常の観血的整復および内固定(骨折部位の皮膚を切開し、骨を直接露出させて整復する方法)は骨の位置関係を正確に整復することは可能ですが、組織や骨にダメージを与えてしまうことで治癒力を低下させてしまいます。血行の維持、組織損傷の軽減を目的とした最小侵襲手術(可能な限り組織にダメージを与えない方法)は獣医整形外科領域においても徐々に広まりつつありますが、特殊な設備と技術が必要なためまだ一般的に普及はしていません。当院ではCアームと呼ばれる透視装置を導入し、動物の負担を少しでも少なくできるよう、最小侵襲手術にも取り組んでいます。

 

レントゲン画像

【術前】

 

【術後】

 

【参照文献】

Palmer RH. External fixators and minimally invasive osteosynthesis in small animal veterinary medicine. Veterinary Clinics: Small Animal Practice2012;42:913-934.

 

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