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#41 交通事故外傷【整形外科】

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当院へは外傷患者もよく来院されます。特に猫の交通事故、落下事故は多発しており、集中治療が必要なケースも多々あります。

年齢は不明の猫ちゃんで、交通事故による外傷が疑われ来院されました。来院時意識状態は安定していましたが後肢は起立できませんでした。レントゲン検査の結果、左の骨盤骨折と右の大腿骨骨折が認められました。幸いにも腹腔内臓器や尿路の損傷は認められませんでした。

多発性外傷であり、手術は2回に分けて実施しました。全身状態を安定させた後に、まず骨盤骨折の手術を行いました。骨盤は左の寛骨と呼ばれる部分で粉砕骨折しており、ピン、ラグスクリュー、プレートを用いて固定しました。その2日後、今度は右大腿骨骨折をプレートロッド法(髄内ピンとプレートを併用する方法)で整復しました。

2回とも大きな手術となりましたが、米国獣医麻酔疼痛管理専門医の小田先生の元指導を受けた当院麻酔科獣医師の力もあり、徹底した疼痛管理と共に無事に麻酔、手術を乗り越えてくれました。術後経過もよく、無事に退院できました。

先日術後2ヶ月の検診に来院され、元気に生活してくれていました。

 

特に屋外で生活する猫では事故に遭遇する確率が高く、最も多いのは交通事故とされています。二次病院のデータでは交通事故で来院された患者のうち約16%が治療の甲斐なく死亡または安楽死となっており、治療を受けた際の合併症発生率も44%、中でもショック状態に陥ってしまった患者での死亡率は約21%と、とても高いことが報告されています。当院では夜間救急部も設置し可能な限り迅速に対応できるよう準備を整えていますが、何よりも事故に遭わないように生活をさせてあげることが第一であり、ご家族のご協力が動物を守る大きな力になると考えています。

 

【術前レントゲン】

【術後レントゲン】

 

【参照文献】

Hernon T, Gurney M, Gibson S. A retrospective study of feline trauma patients admitted to a referral centre. Journal of Small Animal Practice2018;59:243-247.

 

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