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#39 前十字靭帯断裂【整形外科】

投稿日:2022年6月7日 更新日:

8歳のトイプードルのわんちゃん、以前から右後肢の前十字靭帯部分断裂を診断していましたが、症状が極めて軽かったため保存的に管理していました。今回急に左の後ろ足を痛がり出したとの主訴で来院されました。左後肢は完全にケンケンの状態になってしまっており、整形学的検査、レントゲン検査、関節液検査を行い、前十字靭帯断裂と診断しました。今回は症状も強く出てしまっていたため、飼主様と相談の結果外科的治療に進むこととなりました。

前十字靭帯は完全に断裂しており、半月板の損傷も認めました。損傷した半月板を処置し、前十字靭帯断裂に対してTPLOと呼ばれる手術を行いました。麻酔も無事に終了し、徹底した疼痛管理もあり術後も元気に退院できました。

術後2週間の抜糸の際には見た目には跛行がわからないくらい改善を認めました。先日術後3ヶ月が経過し特に問題も認められなかったため、治療を終了としました。

 

 犬の前十字靭帯疾患は、膝の中にある前十字靭帯の構造が変性することで劣化を認め、損傷とともに炎症が起きます。膝蓋骨脱臼など他の関節疾患に比べても強い炎症が起きることが示されており、かつ膝関節が不安定となるため重度の跛行を呈します。外科的治療は膝関節を安定化させることで運動機能を回復し、ダメージの進行を防ぐ目的で行われます。小型犬でも近年TPLOなどの手術方法が多く適用されており、当院の患者さんでも術後経過はとても良好です。ペットの運動器のことでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

 

【術前レントゲン】

【術後レントゲン】

 

【参照文献】

Wijekoon HS, Toyota K, Kim S, et al. Differentiation potential of synoviocytes derived from joints with cranial cruciate ligament rupture and medial patella luxation in dogs. Research in veterinary science 2017;114:370-377.

Amimoto H, Koreeda T, Ochi Y, et al. Force plate gait analysis and clinical results after tibial plateau levelling osteotomy for cranial cruciate ligament rupture in small breed dogs. Veterinary and Comparative Orthopaedics and Traumatology 2020;33:183-188.

 

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