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症例30 膝蓋骨内方脱臼【整形外科】

投稿日:

わんちゃんの膝蓋骨内方脱臼の手術がありました。

7歳のトイプードルのわんちゃんで、右後肢の跛行(びっこ)を主訴に来院されました。

身体検査では右後肢の膝蓋骨(膝のお皿の骨)内方脱臼を認めました。鎮静下で整形学的検査及びX線学的検査を実施しましたが、検出された異常は膝蓋骨内方脱臼のみでした。しかしながら中年齢になってからの発症であることから何かしらの疼痛を悪化させた原因があると考え、相談の結果手術に進むこととなりました。

手術の際に膝関節内を探査すると、前十字靭帯は健常でしたが、内側滑車稜(膝の溝を作る山になっている部分)の摩耗、軟骨面の発赤を認めました。滑車溝形成術、脛骨粗面転移術などを組み合わせて実施しました。

手術に際して全身麻酔が必要となりますが、当院の麻酔医である松浦獣医師と連携を取りながら徹底した疼痛管理を行い無事に麻酔、手術を終えることができました。順調にいけば2,3ヶ月後には元通り運動ができるようになってくれるはずです。

 

膝蓋骨脱臼は、膝のお皿の骨が内側または外側に外れてしまう病気です。特に小型犬で多く発生し、内側への脱臼を多く認めます。指で押さないと外れない軽度のものから、常に外れっぱなしで戻そうとしても戻らないものまで程度は様々です。程度が軽いから治療しなくて良い、重いから手術が必要と、一律に基準が決まっているわけではありません。しかしながら膝蓋骨脱臼が原因で後肢の跛行や挙上を認める場合には、関節内に炎症や靭帯損傷、軟骨損傷などが起きている場合があります。そのため症状を呈している場合には外科手術を含めた治療について選択肢を提示させて頂くようにしています。特に中年齢で臨床症状を呈した場合には前十字靭帯の損傷や軟骨の摩耗が起きていることが多いため注意が必要です。また若齢時から程度が重たいわんちゃんでは、骨変形が起きてしまうこともあり、その場合は骨矯正手術や骨短縮手術が必要になることもあります。跛行や挙上、スキップなど、おかしいなと思うことがあれば当院獣医師までご相談ください。

 

【術前画像】

【術後画像】

【参照文献】

Nagahiro Y, Murakami S, Kamijo K, et al. Segmental Femoral Ostectomy for the Reconstruction of Femoropatellar Joint in Dogs with Grade IV Medial Patellar Luxation. Veterinary and Comparative Orthopaedics and Traumatology 2020;33:287-293.

 

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