変性性関節疾患(DJD)
ネコちゃんの10歳の10頭に9頭が変性性関節疾患(DJD)になってしまい、痛み(慢性疼痛)を抱えています。
多くの飼い主が猫は「年をとった」と思い込み、知識や観察力のある飼い主でさえ変性性関節疾患で苦しんでいると認識できないことが多い病気です。
猫の変形性関節症の病態と症状
猫の変形性関節症とは、骨と骨とをつないでいる関節に炎症が発生した状態を言います。
体重を支える前足のひじ関節、および後足の膝関節・股関節などで多発します。しかし進行が緩やかなため、見落とされることも多い疾患の一つです。
同じ場所に繰り返し炎症が生じることによって骨が増殖したり、関節表面の滑りをよくする軟骨が磨り減ったりします。
猫の変形性関節症の主な症状
- 運動を嫌がる
- ジャンプしようとすることがなくなる
- 高く飛べなくなる
- トイレの使用が難しくなる
- 強張った歩き方をする
- 動作が遅くなる
- 関節の動きが固い
- 関節の腫れ、歩き方がおかし
- 痛み(触ると嫌がる)
- ぐったりして元気がない
- よく眠る
- あまり動かない
- あまり遊んだり狩りをしない
猫の変形性関節症の原因
- 過度の運動
- 肥満
- 関節リウマチ
- 加齢による経年劣化
- 捻挫に伴う関節の緩み
- 靭帯断裂に伴う関節の不安定
- 股関節形成不全
- 膝蓋骨脱臼
- 骨折に伴う骨格の変形
猫の変形性関節症の治療
猫の変形性関節症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
猫の変形性関節症の主な治療法
- 基礎疾患の治療
別の疾病によって変形性関節症が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。
例えば 股関節形成不全や 膝蓋骨脱臼が関節への負担を増加させ、結果として炎症が起こっているような場合には、まずそれらの疾患への治療がなされます。 - 対症療法
変形性関節症の明確な原因が分からない場合は、疾患の原因を取り除くよりも、症状の軽減を目的とした治療が施されます。具体的には鎮痛薬や抗炎症約の投与などです。 - 幹細胞療法
近年海外では、「幹細胞療法」(stem cell treatment)による治療例が続々と報告されています。この治療法は、患畜の細胞から培養した幹細胞を部に直接注入することで、変形を起こした軟骨や靭帯を修復するという画期的なものです。日本国内ではまだ普及していませんが、将来的には変形性関節症に対する根治
療法として広まっていくことが期待されます。 - 悪化の予防
変形性関節症の悪化を予防するため、飼い主の側でできることはやっておきます。
例えば 肥満気味の場合はダイエットをしたり、嫌がっているのに強引に運動をさせないなどです。