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症例17 前十字靭帯損傷【整形外科】

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今回は前十字靭帯断裂のわんちゃんの手術についてです。

12歳のわんちゃんで、急な跛行(びっこ)を主訴に来院され、左後肢の前十字靭帯損傷が疑われました。跛行が強く、飼主様と相談の結果外科的治療に進むこととなりました。また膝蓋骨内方脱臼も併発していたため、同時に治療することとしました。

手術はまず関節内の探索から始まります。関節を切開し観察したところ、前十字靭帯の完全断裂が確認できました。幸い、半月板の損傷は認められませんでした。関節内をクリーニングした後、膝蓋骨内方脱臼に対して滑車溝形成術(膝のお皿がはまっている溝を深くする手術)、前十字靭帯断裂に対してTPLOを実施しました。

手術に際しては全身麻酔が必要となります。また骨に対する手術は侵襲が強いことが多く痛みも強くなりますが、米国獣医麻酔疼痛管理専門医の小田先生管理のもと、局所麻酔と投薬による徹底した疼痛管理と共に無事に麻酔、手術を終えることができました。

術後の体調も問題なく回復し、翌日に退院が可能でした。数ヶ月後には元気に歩けるようになってくれると思います。

 

前十字靭帯断裂は中〜高齢犬で一般的に認められる整形学的疾患です。大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)を繋ぐ膝関節中の靭帯が損傷または断裂することで膝関節がぐらぐらと不安定になり、疼痛や運動機能障害が発生します。治療には保存的治療と外科的治療がありますが、原則的には外科的治療が第一選択とされており、数多くの手術方法が提唱されています。近年主流となっているのはTPLO(Tibial Plateau Leveling Osteotomy; 脛骨高平部水平化骨切術)をはじめとした骨矯正手術であり、損傷した靭帯に負担をかけないように、または靭帯がなくても関節の安定性を得られるように脛骨の形状を変化させるものです。報告により多少のばらつきはありますが、現時点ではTPLOという方法がその他の手術方法に比較して早期の回復や良好な機能回復、変形性関節症への進行抑制効果が得られるとされています1 2 3 4。当院でも状況に合わせてですが、可能な場合にはこのTPLOを治療方法として選択するケースが増えてきており、良好な結果が得られています。ご不明な点は、当院獣医師までご相談ください。

 

【術後レントゲン】

 

【参照文献】

1. Krotscheck U, Nelson SA, Todhunter RJ, et al. Long term functional outcome of tibial tuberosity advancement vs. tibial plateau leveling osteotomy and extracapsular repair in a heterogeneous population of dogs. Veterinary Surgery 2016;45:261-268.

2. Böddeker J, Drüen S, Meyer-Lindenberg A, et al. Computer-assisted gait analysis of the dog: comparison of two surgical techniques for the ruptured cranial cruciate ligament. Veterinary and Comparative Orthopaedics and Traumatology 2012;25:11-21.

3. Christopher SA, Beetem J, Cook JL. Comparison of long‐term outcomes associated with three surgical techniques for treatment of cranial cruciate ligament disease in dogs. Veterinary Surgery 2013;42:329-334.

4. Moore EV, Weeren R, Paek M. Extended long‐term radiographic and functional comparison of tibial plateau leveling osteotomy vs tibial tuberosity advancement for cranial cruciate ligament rupture in the dog. Veterinary Surgery 2020;49:146-154.

 

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