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症例13 褐色細胞腫【腫瘍外科】

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今週はわんちゃんの褐色細胞腫の手術がありました。

褐色細胞腫というのは、副腎にできる腫瘍の1つです。副腎はお腹の中、左右の腎臓の横にそれぞれ1つずつ存在する小さな臓器(通常10mm×5mmくらい)で、生きるために必要な数種類のホルモンを分泌しています。副腎の中でもこのホルモンを出す細胞が腫瘍化してしまうと、大きくなった分通常より余計にホルモンを分泌してしまうことでそれに伴った症状を呈することがあります。

今回の患者さんは12歳のわんちゃんで、2,3ヶ月前からの呼吸速迫や飲水量の増加を認めるとのことでした。全身的に精査をしたところ左の副腎に直径2cm程度の腫瘤病変が見つかりました。そして検査を進めていく過程で褐色細胞腫が疑われました。

褐色細胞腫は副腎の中でも、カテコラミン(主にノルアドレナリン)という物質を分泌する細胞が腫瘍化したものです1。カテコラミンは血管や神経などに作用し、交感神経を活性化させる方向に働きます。その結果、パンティングや頻脈、高血圧、多飲多尿、発作、虚弱などの症状が出ることがあります2。そして悪性の場合には転移や血管の中に入り込んでいくなどし、進行すると命に関わります3

治療としては外科的摘出が第一選択であり、今回も飼主様と相談の結果手術に進むこととなりました。褐色細胞腫の手術は他の手術に比べると周術期の死亡率が高いことが報告されているため2、術前から内科、麻酔科、外科チームで相談しながら綿密に計画を立てていきました。手術中も心拍数や血圧の変動が大きく気を抜けない状況でしたが、米国獣医麻酔疼痛管理専門医の小田先生を含む麻酔科チームの協力もあり無事に手術を終えることができました。術後も順調に状態は回復し、翌日には食欲もあり3日後には元気に退院が可能でした。そして病理検査の結果、褐色細胞腫と確定しました。

今回は比較的早い段階で手術に進むことができましたが、外から見てわからない場所の腫瘍はなかなか発見に時間がかかることもあります。いつもより呼吸が早い、お水を飲む量が増えた、体重が減ってきているなど、いつもと違うな感じられることがあればそれは腫瘍に限らず何かしらの病気のサインの可能性があります。そのような場合にはあまり待ちすぎることのないよう、早めに病院を受診して頂くことをお勧めします。

 

【画像】

 

【参照文献】

1.Edmondson E, Bright J, Halsey C, et al. Pathologic and cardiovascular characterization of pheochromocytoma-associated cardiomyopathy in dogs. Veterinary pathology 2015;52:338-343.

2.Herrera MA, Mehl M, Kass PH, et al. Predictive factors and the effect of phenoxybenzamine on outcome in dogs undergoing adrenalectomy for pheochromocytoma. Journal of Veterinary Internal Medicine 2008;22:1333-1339.

3.Barrera JS, Bernard F, Ehrhart EJ, et al. Evaluation of risk factors for outcome associated with adrenal gland tumors with or without invasion of the caudal vena cava and treated via adrenalectomy in dogs: 86 cases (1993-2009). J Am Vet Med Assoc 2013;242:1715-1721.

 

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