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症例12 腹腔内腫瘍【腫瘍外科】

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今回は腫瘍外科についてです。9歳のわんちゃんで、数ヶ月前から徐々にお腹が膨らんできたとのことで来院されました。来院時、全身状態は良好で元気食欲もありましたが腹部の膨満を認め、レントゲン検査を行ったところ腹腔内に大きな占拠病変を認めました。超音波検査では、病変は腫瘍であることが疑われましたが、大きすぎるためにどの臓器由来の腫瘍か判断がつきませんでした。そのため、より詳しい状態把握を目的にCT検査に進みました。検査の結果、腫瘍病変は子宮由来であることが疑われ、開腹での摘出に進むこととなりました。

開腹すると、腹腔内は大きな腫瘍で占められ、他の臓器が圧迫を受けている状態でした。しかしながら幸いにも腫瘍は周囲組織との癒着も認めず、スムーズに摘出することが可能でした。腫瘍は当初の予測通り、子宮から発生したものでした。

手術に際しては全身麻酔が必要となります。腹腔内に大きな病変のある動物では特にリスクが伴うことがありますが、米国獣医麻酔疼痛管理専門医の小田先生管理のもと、徹底した疼痛管理と循環管理もあり無事に麻酔、手術を終えることができました。

大きな手術でしたがわんちゃんもとてもよく頑張ってくれ、術後の体調も問題なく回復し退院できました。

 

子宮の腫瘍は犬や猫では多くありませんが稀に発生し、腫瘍疾患全体の0.3~0.4%とされています1。良性のものであれば平滑筋腫や線維腫、腺腫、悪性であれば腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫、複合癌などが報告されています。子宮由来の腫瘍であれば、外科的切除が第一選択となりますが、患者の状態、転移の有無などを総合的に判断し手術に進むかどうかを相談させて頂く必要があります。

動物でも人と同じように、腫瘍ができることがあります。体表にできたものでは比較的発見がしやすいですが、お腹の中や胸の中など、体内にできたものでは症状が明らかになるまでなかなか見つけられないことも多くあります。今回のように大きな腫瘍でも本人は元気、ということもあるため、少しでも異常を感じた際には早めに検査に進み、状態を把握してあげることが大切です。

【術前レントゲン】

【参照文献】

1. Krimer PM, Miller DM. Uterine cytology. Veterinary Cytology 2020:559-581.

 

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