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症例6 前十字靭帯断裂【整形外科】

投稿日:2021年4月9日 更新日:

今週は前十字靭帯断裂のわんちゃんの手術が続きました。

15歳のわんちゃんで、左後肢を跛行(びっこ)しているとのことで来院されました。身体検査で左膝関節の不安定性(Drawer徴候、Tibial thrust)を認め、レントゲン検査も合わせて前十字靭帯疾患と判断しました。

15歳と高齢のわんちゃんでしたが、健康状態に異常がなく、体重も大きな子でかつ反対側の肢にもレントゲン検査で初期の前十字靭帯疾患を疑う所見があったため、飼主様と相談の結果、TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)を実施しました。

手術に際して全身麻酔が必要となりますが、米国獣医麻酔疼痛管理専門医の小田先生指導のもと、局所麻酔と投薬による徹底した疼痛管理と共に無事に麻酔、手術を終えることができました。高齢の動物では麻酔後の体調回復に時間がかかることもありますが、今回は翌日には元気に食欲も回復してくれました。

数ヶ月後には元通り元気に運動ができるようになってくれると思います。

 

前十字靭帯疾患は犬で多くみられる疾患で、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(スネの骨)を繋いでいる前十字靭帯が部分断裂または完全断裂してしまうことで安定性を欠き、膝関節の可動時や負重時に関節がぐらついてしまうものです。以前にもお伝えした通り、線維の束である前十字靭帯が、少しずつ線維が切れていくことで徐々に脆弱化し、最終的に断裂に至ります。靭帯線維が損傷し始めるその根本的な原因は現時点でははっきりと解明されていないため、前十字靭帯“疾患”と呼ばれています。注意が必要なのは、片方の肢で断裂が起きた場合に、反対側の肢でも靭帯は脆弱化している可能性があるということです。特に大型犬では両側断裂のリスクが高いとされており、ラブラドールでは片側の前十字靭帯断裂を起こした患者の48%が5.5ヶ月以内(中央値)に反対側の断裂を起こしたとする報告もあります。そのため、片側に発生した時点で反対側の肢が罹患する可能性を含めて治療を考えていく必要があります。治療方法についてはまた次回にお話させて頂きますが、気になる点があれば当院獣医師までご質問ください。

 

術後レントゲン画像

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