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症例3 前十字靭帯断裂

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今週は犬の前十字靭帯断裂患者の手術を行いました。

8歳のトイプードルのわんちゃんで、散歩中に急に右後肢を跛行(びっこ)し始めたとのことで来院されました。検査の結果、前十字靭帯断裂と膝蓋骨内方脱臼を認め、外科手術に進むこととなりました。

手術は前十字靭帯の断裂に対してTPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)、膝蓋骨内方脱臼に対して滑車溝造溝術をそれぞれ組み合わせて実施しました。

手術に際して全身麻酔が必要となりますが、今回は米国獣医麻酔疼痛管理専門医の小田先生にもお越し頂き、全身麻酔はもちろん、局所麻酔と投薬による徹底した疼痛管理のもと、無事に手術を終えることができました。手術は骨切り術も含む侵襲性の高いものでしたが、徹底した疼痛管理により術後の痛みも少なく元気に回復してくれました。数ヶ月後には元通り元気に運動ができるようになってくれると思います。

 

前十字靭帯疾患は犬で多くみられる疾患で、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(スネの骨)を繋いでいる前十字靭帯が部分断裂または完全断裂してしまうことで安定性を欠き、膝関節の可動時や負重時に関節がぐらつくことで痛みや不快感が生まれ、跛行(びっこ)が認められます。外傷や激しい運動をきっかけに発症することもありますが、その多くは日常生活の中で発症します。これは、線維の束である前十字靭帯が、少しずつ線維が切れていくことで徐々に脆弱化し、最終的に負荷に耐えられない程弱くなるまたは完全に断裂してしまった段階で重度の跛行を呈することになるためです。靭帯線維が損傷し始めるその根本的な原因は諸説あるものの、現時点でははっきりと解明されていません。すなわち、現段階で発症を予防する確実な方法はなく、基本的には発症してから治療を行うしかない疾患とされています。ただし、部分断裂の時点で発見し、早期に手術に進むことで完全断裂を防げる可能性はあるため、後肢の痛みや異常を感じた際には早めの検査、診断、治療をお勧めします。治療法についてはまた次回、お話させて頂きたいと思います。

【術前】

【術後】

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